資料紹介(4) タイリクオオカミの骨格標本

 ※2023年5月21日に写真を差し替えて再公開


今回はモノ資料として、タイリククオオカミ牡の骨格標本の写真を紹介します。

平岩は昭和5(1930)年から昭和15(1940)年にかけて9頭のオオカミを飼育していました

*1捕獲された場所ごとに「朝鮮狼」6頭、「満州狼」1頭、「蒙古狼」2頭と分けて呼称していました。オオカミの分類については現在も議論が続いているため、ここではタイリクオオカミ(Canis lupus lupus)としておきます。平岩のメモによれば、この写真は「満州狼」の牡です。

実物の骨格標本は現在都内のある場所に保管されています。

当時の一流の職人が手がけたのでしょう、写真のとおり、とても精巧に作られており、芸術作品のようで、資料的価値を超えた美しさがあります。

90年ほど経過した現在でも目立った損傷などはありません。

骨格標本を残すことは、いま分かっていないことが分かる可能性を数百年後に残すことです。

以前紹介した回覧誌など、平岩邸資料には、そのような考えのもと保存されているものがまま存在します。

数十年で移り変わっていく思想なるものや社会なるものの浮き沈みを超えた視野の広さに、ただ頭が下がるばかりです。